日本滑り軸受標準化協議会のホームページ 
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       PBSA 日本滑り軸受標準化協議会について   
            
    1.趣旨
 滑り軸受に関する規格の国際標準化をいかにして進めるかは、軸受技術の進歩・発展と軸受の世界規模での普及のために不可欠の課題であるが、我が国における規格の標準化の取り組みは、欧米に較べて著しく立ち遅れている。この遅れを取り戻すべく、長期的視野に立ち、さらに学術的にも各界の批判に耐え得る活動が可能な組織として、産官学の連携活動を目指した「日本滑り軸受標準化協議会」を設立し、滑り軸受に関する標準化に関する活動を積極的に推進する。

2.背景と経緯
 我が国の滑り軸受に関する標準化の活動は、従来(社)日本機械学会に設立された「ISO/TC123平軸受国内員会」により主に行われてきた。しかしこの組織は、年度ごとに委員が任命されるものであって、必ずしも長期的に視野に立った活動が十分に保障される体制とはなっていなかった。また、かねてより経済産業省、日本規格協会のご支援・ご指導を得て進めてきた我が国を幹事国とするISOの専門委員会TC123(滑り軸受)の新分科委員会SC6(滑り軸受に関する用語及び共通事項を審議)の設置が認められた(2004年7月9日の加盟国の批准により認証され、Technical Management Board Resolution64/2004として確定した)が、今後幹事国としての用務が加わるため、事務量の大幅増加が予想される。しかし、現在の組織のままでは、敏速な対応が困難と考えられる。今後活発化する標準化の活動に対して国からの補助が期待される助成金被交付団体としても、しっかりとした恒常的組織の設立が望まれているいる。そこで、2004年2月27日に関係者が集まり相談した結果、「日本滑り軸受標準化協議会」(Japan Plain Bearing Standard Association)として設立(2004年10月1日設立総会開催)することが合意され、同年4月20日に関係者に対する「説明会」が開催された。なお、本協議会の設立により、これまで「ISO/TC123平軸受国内委員会」の活動をしてきた(社)日本トライボロジー学会第2種研究会「滑り軸受標準化・規格原案検討研究会」及び産官学の「国際規格対応滑り軸受標準化委員会」は、発展的に解散することとし、それらの活動内容は今回設立される本「協議会」に引き継がれることになる。

3.標準化の利点と日本における現状
 規格を標準化することによって、機械をはじめとする工業製品の設計・製造はより容易となり、コストの低減を図ることが可能となる。また互換性、汎用性が確保されるため、工業製品の利便性が向上し、その結果、世界的規模での普及・流通が促進される。しかしながら、滑り軸受においては、転がり軸受における標準化の取り組みに比べてその遅れはきわめて深刻である。その主要な理由は、従来、機械が製造されるつど、滑り軸受が新たに設計・発注されるという、いわば機械主導型生産の主従関係によるものであった。これを反映して特に日本における滑り軸受のJIS規格の数は僅かであり、概して各製造メーカーは、独自の社内規格をつくり、これを利用してきたのが実情である。日本の滑り軸受産業が現在、質・量ともに世界のトップレベルに達しているにもかかわらず、その標準化の遅れにより世界市場における立場は必ずしも優位に立っているとは言い難い。今後、産業の国際化が進み、また滑り軸受においても電子取引等が復旧すれば、軸受の規格の国際標準化の必要性は一層増大して、現状のままででは日本の立場は国際市場で相対的に劣勢に立たされることになる。
 また、我が国の経済産業省も国際規格を現代産業の国家戦略の有力な手段として位置づける姿勢を鮮明にしてきており、各産業分野において、ISO各種技術委員の議長国、幹事国を引き受ける団体に対してこれを積極的に支援し奨励している。このような時期にあって、滑り軸受標準化協議会の設立は誠に時宜に適った方向と言える。

4.欧米の動向:規格を産業戦略の基軸に設定
 欧米においては、滑り軸受の標準化が進み、ドイツの国内規模DINを基にしたISO規格が現在68件も制定されている。また欧州では、一部に社内規格がISO規格化されている現現状も看過できないい。一方、近年、米国が急速に多くの分野においてISOの各種技術委員会の議長職を奪取し、その後は世界1位を占めるに至っている。これは米国もISOを主体とする標準化による国際市場における利益確保の重要性に覚醒したことを伺わせる。
 今後米国は、滑り軸受の分野に自国のASTMやSAEやMIL規格等を持ち込むことも十分に考えられ、これを看過すれば、一企業のみならず日本国として多大の損失を招来する可能性がある。このような欧米の動向に対して、早急に対応を準備し適切な措置を講ずることが急務の課題である。この意味においても、「日本滑り軸受標準化協議会」の設立はきわめて重要な意義を持つ。

5.産官学による委員構成の必要性
 従来のISOやJISなどの規格の制定作業は、メーカー主導により行われたものが多い。しかし工業の真の発展を促すことを目的とするならば、規格の制定や国際標準化の活動は学術的基盤の上に、ユーザーの利便性、安全・環境、社会的責任、等をも十分考慮して行われるべきである。したがって「日本滑り軸受標準化協議会」においては、軸受製造関係者、軸受材料製造関係者、軸受試験評価関係者、需要関係者、学会・公的機関関係者を可能な限り網羅した構成とする。

6.将来の展望
 上記の規格の標準化活動に加えて、将来は、滑り軸受とその関連分野に関する技術情報の収集、技術交流、規格戦略に関する研究・教育・広報活動、知的財権と有機的連携などを推進し、併せて共通課題に関する国際交流も積極的に進めたい。